基礎知識

マニホールドブロックとは?油圧システムにおける役割と加工ポイント

マニホールドブロック

マニホールドブロックは、油圧システムや空圧システムで欠かせない部品です。油圧機器における省スペース化と軽量化に対して、マニホールドブロックは大きく貢献しています。このようなマニホールドブロックですが、高精度加工とバリ除去等の加工ポイントがいくつかあります。

本記事では、マニホールドブロックの基本的な役割から、油圧システムでの重要性、マニホールドブロックの加工ポイント、そしてポンプ組立で得た技術的知見や量産対応力等の宮本製作所ならではのマニホールドブロック製造、実際に当社で製作した加工実績まで、まとめて解説します。

マニホールドブロックとは?

マニホールドブロックとは、鉄やアルミダイカスト、ステンレスなどの金属ブロックの内部に、油圧や空圧の流路を形成し、外部に接続するためのポートが設置された部品のことです。

マニホールドブロックに油圧部品を取り付けることで、従来必要だった配管が不要になり、装置全体の省スペース化や軽量化に大きく寄与します。特に、限られたスペースでの機械配置が求められる場合、マニホールドブロックは油圧ホースや継手の使用を最小限に抑えることができるため、非常に有効です。

例えば、油圧システムでは油圧ポンプ、流量制御弁、圧力制御弁、シリンダーといった主要な部品が使われます。油圧ポンプで加圧された圧油が制御弁を経由し、油圧シリンダーで力を発揮しますが、これらを配管で接続する従来の方法では、多くのスペースを必要とし、油漏れのリスクも伴います。そこで、マニホールドブロックにこれらの部品を統合することで、システム全体の効率性が向上し、配管が少なくなることで油漏れのリスクも低減します。

また、マニホールドブロックは油圧だけでなく空圧回路にも使用され、目的や構造はほぼ同じです。しかし、油圧と空圧では作動圧力が異なり、空圧回路は最大0.7MPa程度、油圧回路は最大35MPa程度に設定されることが多いため、設計時には流路の径や残肉の厚さに注意が必要です。

このブロックの形状は、通常、直方体の金属の内部に複雑な油路を形成し、各部品を接続して作動するよう設計されています。油圧機器の接続において、モジュラースタック弁電磁弁などを組み合わせて使用することで、複数の油圧回路を一体化し、油圧装置全体を小型化・軽量化できるため、建設機械や農業機械、車両関連の機械に広く使用されています。

加えて、アルミダイカストで製作されたマニホールドブロックは、スチール製に比べ約1/3の軽量化が可能で、さらなる省スペース化や効率性の向上が見込まれます。このため、建設機械や車両、農業機械などの産業で非常に高い評価を得ています。

マニホールドブロックの油圧システムにおける役割

マニホールドブロックは、油圧システムにおいて不可欠な存在です。その主な役割は、複数の油圧回路を効率的にまとめ、装置全体を省スペース化することにあります。従来の油圧システムでは、ポンプ、シリンダー、弁などの各部品を個別の配管で接続していましたが、マニホールドブロックを使用することで、これらの接続を一つのブロック内で行うことができ、配管数を大幅に削減します。この結果、油圧システム全体の効率が向上し、配管による油漏れのリスクも大幅に軽減されます。

油圧システムの最適化

マニホールドブロックを使用することで、油圧システムの設計はよりコンパクトかつシンプルになります。たとえば、油圧ポンプ、圧力制御弁、流量制御弁、シリンダーといった各油圧部品をマニホールドブロック内に配置することで、油圧流路が内部で形成されるため、外部配管を減らすことができ、作業時間と設置コストの削減につながります。これにより、システム全体の作動効率が向上し、装置の信頼性も高まります。

また、油圧システムの小型化と軽量化も大きなメリットです。車両や建設機械などの分野では、限られたスペースでの部品配置が求められますが、マニホールドブロックはこの要件を満たすのに最適な部品です。従来の配管システムでは、各部品をつなぐために多くのスペースが必要でしたが、マニホールドブロックの使用により、システム全体のスペースを削減し、装置のコンパクト化が可能になります。

軽量化とコンパクト化のメリット

マニホールドブロックを用いた油圧システムは、軽量化やコンパクト化により機器の運搬や設置が容易になり、特に移動型機器や車両向けの機械では大きなメリットがあります。また、配管が少なくなることで、油圧装置全体の重量が減少し、燃費の向上やメンテナンスコストの削減にもつながります。

このように、マニホールドブロックは、油圧システムの設計効率を向上させ、全体のコンパクト化と軽量化に寄与します。その結果、油圧装置の信頼性とパフォーマンスを最大限に引き出しつつ、コスト削減や作業効率の向上が実現します。

アルミダイカスト製マニホールドブロックの利点

アルミダイカストは、マニホールドブロックの製造において非常に重要な素材です。その最大の特徴は、軽量化強度のバランスを高いレベルで保てることです。特に、産業機械や車両関連の機器では、装置全体の軽量化が求められる場面が多いため、アルミ素材の使用は不可欠です。アルミニウムは、鉄と比較して耐食性があり、長期間にわたって信頼性を保つことができます。これにより、油圧システムにおいても高い耐久性が期待でき、外部環境に強い構造が実現されます。

アルミダイカストによるマニホールドブロックは、スチール製のブロックに比べ約1/3の軽量化が可能です。これにより、建設機械や農業機械、車両関連の機器において、燃費の向上運搬・設置の効率化が図れます。特に、大型の油圧機器や移動式の機械においては、この軽量化のメリットが大きく、機械全体のパフォーマンス向上に直結します。

このように、アルミダイカスト製のマニホールドブロックは、従来の鉄製部品と比べて、軽量化と製造効率に優れているだけでなく、コスト削減長寿命化にも貢献しています。これにより、産業機器や車両向けの油圧システムにおいては、最適な選択肢となっています。

マニホールドブロックの加工ポイント

マニホールドブロックでは、金属ブロックの内部に油圧回路を構成するため、大小のポート穴をつなぎ合わせて油路を形成します。このブロック内部の油路は複雑な設計が多く、精密な穴あけ加工や、交差管理が不可欠です。油圧回路における各部品が正確に動作するためには、非常に細かな精度が求められ、その精度を保つための加工プロセスが重要です。

例えば、深穴・長穴加工はマニホールドブロックの製作でよく使用される手法ですが、穴の中で他の油路と交差することがあり、その交点で工具が摩耗するリスクがあります。そのため、適切な工具の選定や、加工中に発生するバリの除去が品質を左右する要素となります。バリが残ったままの状態で使用されると、油圧システム内に異物が混入し、機器の動作不良や摩耗、さらには油漏れといった問題の原因になります。

また、バリ取りは特に重要な工程です。マニホールドブロック内でのバリは、油圧流路内に微細な異物が残ることで、油圧システム全体の性能を低下させ、フィルターの詰まりや、弁の誤作動につながるリスクがあります。このため、加工の最後には必ず徹底的なバリ取り作業を行い、部品の仕上がりを確認することが必要です。

さらに、マニホールドブロックは試作段階から量産段階への移行時においても、加工精度を保つ必要があります。試作品では高精度が達成されても、量産段階になると精度が落ちるというトラブルを避けるためには、量産を見据えた専用ラインの設計や、品質管理体制の整備が重要です。これにより、少量生産から大量生産に至るまで、安定した品質のマニホールドブロックを提供することが可能になります。

そしてマニホールドブロックの加工においては、使用する材料(ステンレス、アルミ、鉄など)の特性に応じた最適な加工技術を選定することも重要です。たとえば、アルミは軽量でありながらも切削が容易で、多くの場面で採用されています。部品の材質や使用条件に合わせて適切な加工方法を選ぶことで、より高い性能と耐久性を持つマニホールドブロックを作り出すことが可能になります。

当社だからこそ可能な特注マニホールドブロック製造

ポンプ組立で培ったマニホールドブロックに対するノウハウと技術力

宮本製作所は、長年にわたる油圧機器の加工経験を活かし、特にポンプの組立工程において得られた知見が豊富です。この経験から、マニホールドブロックに接続される油圧部品やシステム全体の要件を深く理解しており、顧客のニーズに応じた最適な提案が可能です。油圧部品の取り付け位置や、油圧部品の流路径、配管ルート、設定圧力などの条件を正確に理解した上で、適切な加工条件の設定を行います。これにより、お客様ごとに最適なマニホールド設計を行い、システムの効率化や省スペース化に大きく貢献しています。

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試作から量産までの柔軟な対応力

宮本製作所は、試作・開発段階から量産への移行まで、一貫した高品質な加工対応を提供しています。少量の試作品を手掛けた後、量産時に同じ精度を保つため、専用の生産ラインを設計することで、月間10万個の大量生産にも対応可能です。この柔軟な対応力により、試作品から量産品まで同一の精度を保ちつつ、効率的な製造を実現しています。

工程集約と工具内製化によるリードタイム短縮

宮本製作所の強みの一つは、バニシングリーマのような特殊工具の内製化です。加工プロセスにおいて最適なツールを自社で製作することで、工程ごとの工具交換が不要となり、生産リードタイムの短縮を可能にしています。また、工具の再研磨やカスタムツールの製造により、製造プロセス全体の効率化を実現し、最終的にコスト削減と納期短縮を両立しています。これにより、顧客に対して迅速でコスト効率の高いサービスを提供しています。

顧客に合わせた技術提案

宮本製作所では、ポンプや油圧機器の分野における深い技術的な知識に基づいた提案が可能です。たとえば、油圧システム全体の効率を向上させるために、特定の要件に適合したマニホールドブロックの設計・製造を行います。このようなカスタマイズされた技術提案により、顧客のニーズに応じた最適な解決策を提供し、装置の信頼性向上やコスト削減に寄与しています。

マニホールドブロックの加工から油圧ポンプのOEM組立まで一貫対応

宮本製作所では、マニホールドブロックの加工から始まり、油圧ポンプのOEM組立まで一貫して対応しています。産業用ポンプの組立専用工場を保有しており、大手メーカーから依頼を受けたポンプの組立・検査・梱包を行う体制を整えています。

当社の強みは、ポンプ部品の高精度加工と、それを支える専用ラインによる組立・検査の一貫対応にあります。特に、アルミダイカスト製のポンプケースや高剛性を必要とする部品の加工においては、ミクロン台の精度を実現する高度な技術を有しており、産業機器や自動化設備に使用されるポンプの高品質化を支えています。専任の技術者が組立から検査までを担当することで、品質管理を徹底しています。

マニホールドブロックの事例紹介

続いて、実際に当社で製作したマニホールドブロックの事例をご紹介いたします。

アルミダイカスト製 マニホールドブロック

マニホールドブロック

この製品は、アルミソリッド(ブロック)からの削り出しで加工を行った機械加工品です。加工方法としてマシニングにて6面加工を行っております。
段付き穴が非常に高精度な製品となっておりますが、専用の特殊工具を社内で内製化し、同軸度や穴径を確保しながらの加工を行っている製品となっております。

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マニホールドブロックのことなら宮本製作所にお任せください!

マニホールドブロックは、油圧システムの効率化、軽量化、省スペース化に大きく貢献する重要な部品です。特に、アルミダイカスト製のマニホールドブロックは、複雑形状の成形を容易にし、コスト削減製造リードタイムの短縮を実現します。

宮本製作所では、お客様のご要望に応じた油圧システムにおける高精度な加工やバリ取り、ポンプ組立で得た宮本製作所の技術的知見に基づくカスタム提案や高い品質保証を行い、少量試作から大量生産まで対応可能な体制を整えています。

焼結金属加工.comを運営する株式会社宮本製作所では、国内の主要大手メーカ―様にご依頼いただき、特注マニホールドブロックの製造を多数行っております。油圧機器や車両向けのマニホールドブロックの導入を検討されている方は、ぜひ宮本製作所にご相談ください。

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