圧粉磁心とは?圧粉磁心の用途と電磁鋼板の比較
近年のモーター薄型化や小型化、軽量化に伴って注目されているのが、アキシャルギャップモーターです。そして、アキシャルギャップモーターの特性を満たすために必要となるモーターコアが、圧粉磁心です。しかし圧粉磁心はその材料特性ゆえに、加工するのが困難で、現在は軟磁性体加工が可能な当社に全国のみならず、世界からも当社にご相談をいただいております。
ここでは、圧粉磁心の特徴から用途、従来の電磁鋼板コアとの比較、圧粉磁心のデメリット、さらには実際に当社で加工した圧粉磁心の製品事例まで、まとめてご紹介いたします。
また当社では、圧粉磁心を製作するための技術力について、こちらのハンドブックにて解説しております。ぜひご一読ください。
圧粉磁心とは?
圧粉磁心とは、軟磁性体の特性を持つ鉄粉をプレス加工で3次元形状に固めた磁心を指します。圧粉磁心コアと呼ばれる場合もございますが、こちらは圧粉磁心とほぼ同義になります。圧粉磁心は、現在需要が高まっているアキシャルギャップモーターのコアとしての活用が期待されています。
圧粉磁心の用途
近年は電気自動車のニーズが非常に高まっていますが、それに伴い心臓部でもあるモーターに使用される部品の需要も高まっています。またモーターという点ではニーズは同様となります。そのため、多関節化しているロボットに関しても、様々なモーターが多数必要となってきております。その他にも、産業機械向けにもモーターが多数使用されており、このようなモーターが使用される業界や製品において、圧粉磁心コアの需要が高まっています。
現状は、電磁鋼板をコアに用いたラジアルギャップモーターが主流となっています。しかし近年は、モーターの薄型化、小型化、高出力化が求められており、これらを満たすアキシャルギャップモーターに注目が集まっています。
そしてアキシャルギャップモーターに必要とされるコアには、その形状ならではの磁気回路に適したコアが必須になります。
圧粉磁心と電磁鋼板の比較
圧粉磁心は、従来のラジアルギャップモーターの磁心として使用される電磁鋼板と比較して、形状の自由度と高周波特性において優位性を示します。
電磁鋼板は、鋼板を重ねてモーターコアにする必要があるため、2次元形状がベースとなります。また複数枚の板を切断加工や抜き加工によって製作した後に、積層するための工程も必要になります。そのため、加工方法にも制限がかかってしまいます。一方で圧粉磁心では、金型によって3次元形状を製作するため、電磁鋼板では困難な複雑形状のモーターコアを製作することが可能です。
圧粉磁心のデメリット
一方、圧粉磁心にはデメリットもあります。圧粉磁心のデメリットは、その脆さがあげられます。圧粉磁心は焼結金属とは異なり、焼結工程がなく、加熱処理のみとなります。そのため、圧粉磁心コアは材質自体が非常に脆く、加工が非常に困難な材料として知られています。
しかし当社では、圧粉磁心や軟磁性体の加工事例も多数ございます。圧粉磁心の加工について多くご相談もいただいておりますので、詳細は下記をご覧ください。
圧粉磁心の事例紹介
それでは、実際に当社が製作した圧粉磁心コアの製品事例をご紹介いたします。
軟磁性体コア(圧粉磁心)
こちらは、軟磁性体製のモーターコアです。こちらのコアは圧粉磁心でできており、焼結されずに圧力をかけて作られた成形体を加工した製品です。
軟磁性材コア放射型切り抜き加工
こちらは、軟磁性体製のモーターコアです。こちらのコアは圧粉磁心でできており、焼結されずに圧力をかけて作られた成形体を加工した製品です。
圧粉磁心のことなら宮本製作所にお任せください!
焼結金属加工.comを運営する株式会社宮本製作所では、国内の主要大手メーカ―様にご依頼いただき、圧粉磁心の試作開発を多数行っております。圧粉磁心の成形は大手メーカー様や軟磁性鉄粉の素材メーカー様が行い、成形後の圧粉磁心を追加工して形状を仕上げる対応を当社にて対応しております。
圧粉磁心のような軟磁性体の加工は、素材自体が脆性材料であるのにも関わらず、硬度が高い材料なので、加工自体が非常に困難です。そのため、圧粉磁心の成形体の加工をする際は、チャックで固定する方法や強さなど、細かい調整が必要となります。
軟磁性体は加工時に角がかけやすいため、チャックだけでなく工具や加工条件にも注意する必要があります。しかし当社では、これまでに蓄積されたノウハウで、軟磁性体の加工を実現しております。
当社では、圧粉磁心製のモーターコアの加工実績が多々ございます。また、サイトには掲載できませんが、アキシャルギャップモーターコアのような形状の試作開発品についても、多くご相談をいただいております。
実績のあるサイズとしましては、φ30~φ120程度までは対応可能です。またそれ以外のサイズに関しましても、図面等を精査させていただき、別途対応するような形とさせていただいております。
また、圧粉磁心の材料を保有していない方でもご相談可能です。当社の協力成形メーカー様と相談して検討いたしますので、まずはご希望の材料の種類、もしくは性能目標値をご指示いただき、その後材料の選定をいたします。代わりに、圧粉磁心コアの公差等の図面仕様をご提出いただく必要がございます。
軟磁性体の加工は、形状や性能への影響を考慮し切削加工でもワイヤーカットでも選定することが可能な、焼結金属加工.comまでお任せください。