基礎知識

焼結金属加工とは

焼結金属とは粉末状の金属、合金、金属化合物を焼結成形(固体粉末の集合体を融点よりも低い温度で加熱し、粉末が固まらせたもの)させたものです。焼結金属の多くは異形状・複雑形状をしており、特殊治具を用いて旋盤とフライス盤(NC旋盤とマシニングセンター)を組み合わせて加工を行います。コンロッドやローターのように3次元自由曲面を持つ、自動車や二輪、産業用機械に使用されるスプロケットやプーリーなど焼結金属部品が多数使用されています。
 また、異形状・複雑形状をした金属成形品としては、焼結金属の他にダイカストや砂型鋳造、金型鋳造などの鋳物などがあります。加工対象となるワークの最終的な形状や、金属成形方法、材質などを加味して加工手順や工具の種類を選定することで、高品質な異形状・複雑形状をした焼結金属の加工が可能となります。

焼結金属加工品の試作品と量産品の違い

 スプロケットやプーリーなどの異形状・複雑形状をした焼結金属部品の多くは量産品として扱われることがありますが、量産に移る前には試作品の検証が行われます。試作品には一品一様の仕様が求められ、検証で合格した後に量産ラインが作られ、量産されます。機能試作、製品試作、量産試作の過程を踏んで、本格的な量産となる場合もあります。
 焼結金属の試作品は一般的には市場に出回ることがなく、設計が正しく、形状がイメージに合っているか、機能的に仕様を満足しているかが検証されます。試作品は単品、小ロットでの生産・製造となります。試作品から量産品に移る際に起こりえるトラブルとしては、試作品では実現できていた精度が実現されなかったり、治具や金型が特殊で、小ロット生産のみにしか適しておらず、想定していた生産数に対応できない、といったものがあります。
 焼結金属の試作・開発品の段階から、量産を見越した製品設計や治具製作を行うことで、こういったトラブルを回避することが可能となります。

焼結金属を加工する工作機械

スプロケットやプーリー、ハブ、カップリング、ギア(歯車)などの異形状・複雑形状をした焼結金属部品を加工する工作機械は、大きく分けて旋盤とフライス盤があります。旋盤とフライス盤を組み合わせることで、高い加工精度が求められる歯車形状をした焼結金属や、3次元の自由曲面を持つ異形状・複雑形状の加工が可能となります。また、現在では、生産性を上げるためにNC旋盤とマシニングセンターの組み合わせでの加工が主流となっています。
  • < NC旋盤 >

    旋盤は被切削物を回転させ、固定された切削工具(バイト)にて切削加工を行う工作機械。中ぐり、穴あけ、ねじ切り、外丸削り、突切りなどの加工を行う。

  • < マシニングセンター >

    被切削物をテーブルに固定し、工具を回転させることで切削加工を行う工作機械。平面加工、溝加工、歯車加工などを行う。

NC旋盤とマシニングセンターの組み合わせで実現できること

NC旋盤とマシニングセンタを組み合わせることで、異形状部品や複雑形状な部品の加工を行うことができます。部品を加工するには、設計、材料選定、材料調達を行い、復讐種類の加工工程を行った後、組み立てや表面処理、検査などを行います。そこで、製品の仕様や生産個数に合わせて、NC旋盤とマシニングセンタの生産ラインを作ることで、異形状部品・複雑形状をした焼結金属部品の量産を行うことが可能となります。
 また、旋盤のみ、フライス盤のみ(NC旋盤のみ、マシニングセンタのみ)では単一的な加工しか行うことができないので、複合的に組み合わせることで複雑形状の焼結金属部品加工が可能です。また、生産ライン設計も、ワークの流れ、生産数、作業者の利便性を加味した上で設計を行う必要があります。

焼結金属以外の金属成形品の特徴

スプロケット、プーリー、カップリング、ギア(歯車)などの異形状・複雑形状をした焼結金属部品などは様々な成形方法で作られます。機械加工品の対象となる金属成形品は、砂型や金型での鋳造品、ダイカストなどがあります。それぞれの特徴、特性を踏まえ、適切な成形加工を行うことで、高い精度の加工を実現できます。

鋳造方法 特徴
鋳造方法 古来より行われている鋳造法で、砂で鋳型を作り溶融金属を流し込んで鋳物を製造する方法
金型鋳造 砂型のかわりに耐久性のある金型に溶融金属を重力で流し込み鋳物を製造する方法
ダイカスト 精密な金型に溶融金属を高圧で圧入して、冷却、短時間で高精度で鋳肌の優れた鋳物を大量に生産する方法
< 焼結金属(焼結合金・粉末冶金) >
 粉末状の金属、合金、金属化合物を焼結成形する技術で、難溶性がある材料や難加工性の材料の成形ができます。また、溶解による不純物汚染がなく、複合金属材料の製造が可能であるため、ネットシェイプに成形でき、また原料歩留りがよいという特徴があります。製品の特性に合わせてニッケルやマンガン、モリブデン、セラミックスなどを添加することで、硬くしたり、耐熱性を向上させることができます。
< 鋳造 >
 金属材料を融点よりも高い温度で熱して液体にし、鋳型(砂型、金型、木型など)に流し込み、冷却して目的の形状に固める加工方法です。
< ダイカスト >
 ダイカストは、特殊鋼で精度の高い金型を作り、その金型をダイカストマシンに取り付け、これに溶融金属(アルミニウム、亜鉛、マグネシウムなど)を高圧で注入し迅速に凝固させ取り出す、高い生産性を持った鋳造方法です。ダイカスト製品は寸法精度が高く、強度に優れ、外観が美しく機械加工も少なく済むという優れた特長を持っています。

代表的な焼結金属加工品

< スプロケット >
 焼結金属の1つにスプロケットがあります。スプロケットとは軸の回転をローラーチェーンに伝達したり、また、ローラーチェーンの回転を軸に伝導させるための歯車で、別名、チェーンホイールとも呼ばれる焼結金属部品です。ハブ(ボス)と歯車の個数によってスプロケットの形は大分されます。また、スプロケットが使用されるチェーンにはローラーチェーンとサイレントチェーンがあり、それぞれ、スプロケットの歯の形状が異なります。ローラーチェーンの場合は歯部が鋭角になっていますが、サイレントチェーンのスプロケットは緩い角度の歯になります。

< プーリー >
 スプロケットの他に代表的な焼結金属部品としてはプーリーがあります。プーリーは日本語では滑車と呼ばれ、ロープやケーブル、ベルト、鎖などを用いて動力を伝達させます。機械や装置、自動車などで、回転動力を伝達する目的使用されています。タイミングベルトを調整することで歯車の役割を果たすものをタイミングプーリーと呼び、工作機械などの軸に取り付けられるブッシングプーリー、Vベルトによって動力を伝達させるVプーリーなどがあります。

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